Japanische Klassiker mit Furigana
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さんにんのそうまだいさく
三人の相馬大作
直木 三十五
Lesen Sie 三人の相馬大作 (さんにんのそうまだいさく) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 32.603 Zeichen · 66 Bildschirme
「出ます」
杭を押えていた侍が、こう叫ぶと共に、船頭が立上って、纜を解いた。船は、静かに、舳を川の方へ押し出しかけて、四人の船頭は、肩へ竿を当てて、力を込めた。
川水は、少し濁っていて、杭には、草が、藁が引っかかっている。岸の凹みには、木切れ、竹、下駄などが、浮いていた。
「おーい」
「おーい」
船頭は、合図をして、竿を外して、艪に代えた。船は、ぴたぴた水音をさせつつ、静かに、中流へ出た。
「ああ何か」
と、岸の一人が、呟いた。船べり近くの水面へ、黒い影が浮んできたのが、見えたからであった。
「何?」
一人が、振向いた。
「あれ」
と、指差すか、差さぬかに、水がざっと泡立ち裂けると、白鉢巻をした顔が――手が、足が――
「曲者っ」
「曲者っ」
岸の人々が叫んで、手を延した。
「曲者だ」
二三人が、警固の船手の方へ走出した。四五人が、刀を取って、草叢へ抛出し、羽織を脱いで袴へ手をかけた。
「ああ」
人々の絶叫が、両岸から起った。
九
人々が、動揺し、絶叫した瞬間――川の中の男は、船中へ跳上っていた。駕側の供が立上った時、駕は、左へ傾いて、越中守が駕へ、しがみつきながら