Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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さんにんのそうまだいさく

三人の相馬大作

直木 三十五

Lesen Sie 三人の相馬大作 (さんにんのそうまだいさく) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 32.603 Zeichen · 66 Bildschirme

Aozora Bunko

「血だ」

「ああっ。血だ」

四五人が、水面を指さした。反対側の人々が、一時に見にきたので、船が傾いた。

「危ない」

「血だ」

「いかん。おーい、ここに血が」

船中の人々は、川の上下で、水に潜ったり泳いだりしている人々へ、叫んだ。人々が、泳いで集ってきた。

「見えた」

「浮いた」

川上へ黒い影がさしてきた。越中守の、黒い着物と、袴とが、水へ写って打伏せになって、浮上ってきた。

両岸の人々は、土堤の左右へ、我勝ちに走って、川面を、川岸を、注意していた。二町も、三町も、川の上、川の下へ、人々は、槍をもち、袴を押えて、走っていた。だが、曲者の姿は、浮いて来なかった。

十

「何うだい、凄いことをやるじゃあねえか、この狭い渡し場で、多勢の中を、一体天狗業だの」

一人が、堤の草の中へしゃがんで、こういった。

「全く」

一人は、女狩を、見上げて

「お武家衆、だから、相馬大作って方は、えらいというのですよ。第一、どう潜ったのか――あいつら夜になっても、ああして張るつもりだろうが、お前、川の中に、抜穴かなんか、あるのだぜ。そうで無けりゃ、第一、呼吸ができんもんな」

「大作って人は、三日位、呼吸をせんでもいいように――」