Japanische Klassiker mit Furigana
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さんにんきょうだい
三人兄弟
菊池 寛
Lesen Sie 三人兄弟 (さんにんきょうだい) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.630 Zeichen · 22 Bildschirme
「お前が、加茂の長者か。」と、言いました。今まで俯いていた長者は、顔を上げて、
「はいさようでございます。」と、言いました。その顔を一郎次の左衛門尉がよく見ますと、それは紛れもない弟の三郎次ではありませんか。一郎次の左衛門尉は、思わず大きな声を出して、
「おう三郎次ではないか。」と、申しますと、三郎次も、検非違使のお役所だということも忘れて、
「おう、兄さんですか。」と、言いました。二人は、両方から抱き付くようにしてオイオイ泣きました。
が、泣いているのは、二人ばかりではありませんでした。
砂の上に坐っている、盗賊の多能丸も、やっぱり、縛られた身を悶えながら、歯を喰いしばって泣いていました。大粒の涙がポロポロと、砂の上に落ちました。
多能丸の泣いているのに、ふと気が付いた一郎次と三郎次とはこれはまたどうしたわけかと不思議に思って、この盗賊の顔を見ました。それは、一郎次には弟、三郎次には兄に当る二郎次に違いありませんでした。
三人兄弟が、そのときの驚き喜び悲しみは、どんなでしたろう。それは、皆さん自分で考えて見て下さい。
三人兄弟が、三筋の道に別れた時は、たった一足の違いでありました。