Japanische Klassiker mit Furigana
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さんあくにんものがたり
三悪人物語
山本 周五郎
Lesen Sie 三悪人物語 (さんあくにんものがたり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 28.990 Zeichen · 58 Bildschirme
五
――三人は茫然と顔を見合わせ、それから突然けらけらと笑いだした。激烈な精神感動は人間に笑いの衝動を与えるという、三人は蒼白い顔で、額に膏汗を流しながら、けらけらと笑いに笑った。
「ばかばかしいこんな事はありえない」蓑賀殿は笑いながら断言した、「ありえない事は存在する道理がない。わる洒落だ、なにを怖れるか、子供だましだ、われわれは絶対に安泰だ」
五
「お立ちですよ、姐さん、御前のお立ちですよ」
こういう声が聞こえて、お杉の姐さんは恍惚と身を起こした、
「うるさいのねえ、端下役人のくせに御前もないもんだ、――若旦那、ちょっとごめんなさいましよ」
こう云って抱いていた者に頬ずりをしたが、とたんに、
「きゃっ」
と恐ろしい悲鳴をあげてとび退いた。お杉の腕からごろりと転げ落ちたのは諸君御存じの木彫り人形である。若旦那でもなんでもない。正真正銘の木彫り人形だとわかったとき、姐さんは屈辱の余り歯がみをして、下賤きわまる言を口走られた、それはとうていここに紹介しがたき語彙に属する。そこへ女中の一人が走って来た、
「お杉姐さんどうなすって、御前の御帰りですよ」
「わかったようるさいね」