Japanische Klassiker mit Furigana
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さんあくにんものがたり
三悪人物語
山本 周五郎
Lesen Sie 三悪人物語 (さんあくにんものがたり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 28.990 Zeichen · 58 Bildschirme
王者の富、快楽と安逸と自由の保証、なんたる幸運の昂奮であるか、彼らはわくわく勢い立った、
「小田原評定はたくさんだ」
権頭が立ち上がった、
「相手はあの若僧ひとりあとは老いぼれの爺婆だけだ、こっちは大阪陣に抜刀斬込み隊で戦った豪傑だぞ、押し込もう」
「そだそだ、むずかしいことね、やっけろ」
中将もこう云って腕をまくった。――杢は蓑賀殿から剥いで来た物を背中へ縛りつけ、三人それぞれに身ごしらえをした、そして大根畑から出てかの家の裏口へ忍び寄った。
厨と思える戸を明ける、暗い土間だ。向こうに燈明かりの漏れる戸がみえる、「――いいか」
こう云って権頭が刀を抜いた、杢も中将も刀を抜いた、呼吸を合わせた。そして権頭がいきなりその戸を押し明けた、誰か人がいるだろうと思ったら、そこもまっ暗な土間である。そしてこんどは左側に燈の漏れる戸がみえる、「ははあここだよ」こう権頭が云った、なるほどそこに上り框があった。権頭は土足のままそこへ上がり、戸へ眼を押しつけて中をうかがった。だがそこもうす暗くてよく見えない、そっと戸を明けて中へ入ってみた、とたんに権頭は宙を踏み、もんどり打ってどこかへ墜落した、彼は千仭の空谷へおちたと信じ「助けてくれ」