Japanische Klassiker mit Furigana
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さんあくにんものがたり
三悪人物語
山本 周五郎
Lesen Sie 三悪人物語 (さんあくにんものがたり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 28.990 Zeichen · 58 Bildschirme
「とんでもない結構でございます」
成助はちょっと苦い顔をした。なぜなら、持木屋の手形はいま慶長大判と同じ信用がある、――もっともそれは玉村の若旦那の存在によるのだが、――したがって慶長大判で支払うのと同じ場合でない限り、絶対に手形は振り出したことがない。ふむ、自己保存の本能から成助はちょっと戸惑った、しかし相手は唯一の金主である、商売は地面を弓で射るほど確実である、
「結構でございます、すぐ書いてまいりますからしばらく」
こう云って成助は立っていった。
ほどなく持木屋を出た八百助は、広小路の通りをまっすぐにいって、穀物町にある米問屋の田丸屋益蔵を訪ねた、極秘の話しだからと云うと、蔵座敷へ案内され、そこで主じの益蔵と対談した。――八百助の話しは益蔵にとってもさして意外ではなかったらしい。
「おそらくおっしゃるとおりでしょうて」老人はこう云って手をもんだ。
「蓑賀さんと来六屋と持木屋、この三人は油断がならない、私どもでもそう見ていたのです、が、それについてなにかぬけ道がございますかな」
「いったい米はどのくらいあるんです」
八百助が返問した、
「奉行所の掟で定められた貯蔵米の他に、いまある米はどのくらいです」