Japanische Klassiker mit Furigana
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さんがいばんれいとう
三界万霊塔
久生 十蘭
Lesen Sie 三界万霊塔 (さんがいばんれいとう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.716 Zeichen · 39 Bildschirme
四
と煙草の煙を輪にふいた。
四
次の日の午後、深尾と戸田がダイバーの青木を連れて島の海員倶楽部へ昼飯を食いに行くと、土人達が「鱶の入江」といっている湾のほうで、なにかえらい騒ぎをしている音がした。深尾が青木にたずねると、海辺族は死人を海へ流す習慣なので、葬式をやっているのだろうということだった。
「オボイの入江がやつらの水葬場でして、そこへ投げこむのが儀式なんでね、あれァ鱶が死体を食っている音なんですぜ。風のぐあいじゃ一哩も遠くから聞えることがありまさ。ちょっと無気味なもんです。行ってみましょうか、すぐそこだから」
と二人を誘った。
木麻黄とパンダナスがアーチのように日蔭をつくっているカナカ道を行くと、劈くような鋭い叫び声が林をつきぬけてきこえてきた。青木は驚いたような顔で、
「今日は生きた人間をやっている。これゃ見ものだ」
と先になって走りだした。
そこは十尺ばかりの低い断崖に囲まれた、広く波立つ入江で、独木舟でも並べたように数えきれぬほどの鱶が群れ、浅い水底で魚体をかえすと、蒼白い腹が屈曲光を反射してガラスのようにギラリと光った。沖のほうには二間以上もある大きなやつが円を描きながらグルグルと旋回し、それを十尾ばかりの鱶が黒い影を織るようにして追いかけまわしている。