Japanische Klassiker mit Furigana
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さんがいばんれいとう
三界万霊塔
久生 十蘭
Lesen Sie 三界万霊塔 (さんがいばんれいとう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.716 Zeichen · 39 Bildschirme
恐れることも脅えることもないのだ。
対馬の伜は大いに恨んでいるのだろうが、あの不幸をわれわれのせいだと考えているならチト迷惑だ。人を殺すということも、事情によっては、どうしても避けられない場合もある。
濠洲時代は、生きるか死ぬかの境だった。刀の刃のような鋭い窮乏の中にいると、どうしたって社会を戦争のように見なければならない。生きるためには、偽り、苦しみ、嘘をつき、弱いものは突き倒して、一日一日を戦って行かなければならなかった。ラガーで海へ乗りだしたのは、三人にとって、人生をとるか捨てるかという必死の試みだった。
またあの時は、自分の未来を捨て、その日のパンにも事を欠く、陰鬱なメルボーンの生活にかえり、結局は落伍者の群に入るか、それとも犯罪によって希望のある生活への道を開くか、二つのうちの一つというギリギリの場合だった。人を殺してはいけないという内心の声を聞く一方、かまわないからやれとうながしてやまぬものがあった。
ところで、力の強い偉大な人間は、やれとかやるなとか、内心の声などに邪魔されず、思い立った目的のためにそんなものは平気で振り落してしまうのだ。