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Japanische Klassiker mit Furigana

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さんりょうきょう

三稜鏡

佐左木 俊郎

Lesen Sie 三稜鏡 (さんりょうきょう) von 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.347 Zeichen · 42 Bildschirme

Aozora Bunko

「困ったね。クロロホルムも、コカインも、何も麻酔剤が無いんだが……」

私は思わずそう呟いた。

「麻酔剤など無くてもいいじゃないの」

彼女は案外平気でそう云うのであった。

「併し、麻酔剤が無くちゃ、痛いよ」

「痛いのなど我慢するわ。我慢していれば、後から、気持よくなるでしょう。構わないから早くなさいよ」

「併し可哀想だなあ」

「――だって、あなたは、手術をしたいんでしょう? 構わないわ。我慢しているから早くなさいよ」

彼女はそう云って私を促すのであった。

「それでは……」

私はもう躊躇しているべきではなかった。私は直ぐメスを執った。併し、遉に、私は動悸の激しくなるのをどうすることも出来なかった。私はしかし、動悸を出来るだけ圧鎮めながら、無理にも、令嬢を人間とは意識しないようにして、首の腫物を、一抉りに抉り取った。その瞬間に令嬢は(きゃあっ!)と悲鳴をあげた。

「直ぐだよ。直ぐだ。直ぐだから我慢しておいで」

私はそう叫ぶようにして云いながら、腐敗部分をがりがりと、手早くメスで掻取った。彼女はそして、暫くは(きゃあきゃあっ!)と悲鳴を続けていたが、次第に楽になって来るらしく、声はだんだん低く弱々しくなって行った。