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Japanische Klassiker mit Furigana

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さんりょうきょう

三稜鏡

佐左木 俊郎

Lesen Sie 三稜鏡 (さんりょうきょう) von 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.347 Zeichen · 42 Bildschirme

Aozora Bunko

併し、再び困ったことに、私は、消毒ガーゼ類を全然用意していなかった。唯一巻の繃帯を持っているきりであった。――が、そのとき、ある一つの、外科医学上の新しい発見が、私の頭の中を、電光のように掠めて行った。私は直ぐにメスを持直した。そして私は彼女の大腿部から、頸部の傷穴を埋めるための一塊の肉を、素早くずばりと切取った。彼女は再び(きゃあっ!)と悲鳴をあげた。併し、今はそんなことに、拘泥している時ではなかった。――だが、第一回目は、完全に失敗であった。手先の不器用な私は、幾分狼狽していたりしたので、頸部と同形同大の肉塊を切取ることが出来なかったからである。そこで私はもう一度その大腿部の肉を抉り取った。頸部に比べれば大腿部は殆んど無神経無感覚のところであり、同一人の肉をもってその傷穴を埋めることは、最も理想的な埋肉療法でなければならないからである。併し、今度も亦、小さ過ぎて、失敗に終った。私は更にもう一片の肉を切取った。そして私の不器用な手先が、漸く成功したのは、五六回目のことであった。私はそして埋肉が終ると、直ぐ、繃帯をぐるぐると巻付けた。

「こらっ!」