Japanische Klassiker mit Furigana
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さぶろうじい
三郎爺
宮本 百合子
Lesen Sie 三郎爺 (さぶろうじい) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 24.866 Zeichen · 50 Bildschirme
赤いお月様に右の手の長さを一寸足らず取られた以外、彼は死なせたくても死なないような丈夫な子に育った。大きな大きな二つの眼、響くような声と、岩畳(がんじょう)な手足、後年彼を幸福にもし、不幸にもした偉大な体躯が、年中跣(はだし)で馳けまわっていた頃から、そろそろと彼に、仲間での有力者たる特権を与え始めた。
ずいぶん見かけは、粗暴な様子ではあったが、心は案外おとなしい、親切なところを持っていたというのは、あながち自画自讃ではないらしい。
喧嘩には、俺がなければ納まらないという自惚(うぬぼれ)――幼稚であり、無智ではあるかも知れないが、決して憎むことの出来ないほど、単純な可愛い自信――を、根強く彼の心に感銘させただけの侠気は、その時分も弱い者の肩を持つくらいのことはさせただろう。
けれども、彼の持つ同情心も侠気も、極く粗野なものである。
心の訓練によって磨いた徳ではないのだから、人間の子供が与えられるだけのものは皆与えられ、それが衝動的に命令するがままに行動する。
それ故、今、弱い者の肩を持って、多勢の悪太郎共を相手に竹槍合戦をする彼は、その竹槍を投げ出すと、こっそり、他所の畑へ忍び込んだり、果樹へ登ったりする。