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Japanische Klassiker mit Furigana

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したやそうわ

下谷叢話

永井 荷風

Lesen Sie 下谷叢話 (したやそうわ) von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 122.971 Zeichen · 246 Bildschirme

Aozora Bunko

枕山の女芳樹女史も今楠氏の家に同居している。

枕山には元治元年に生れた長男新吉がある。新吉は湖雲と号し父について詩を学んだが、父のなお世にあった頃からその家に出入することを禁ぜられていたという。わたくしは下六番町なる大沼氏の遺族について新吉の生死を問うたが、多く語ることを好まない様子に見えたので、そのままわたくしも深く問うことを憚った。然るに或日わたくしは大沼竹渓の墓誌を写さんがため三田台裏町の薬王寺に赴き住職に面会した時、住職は大正八年の秋八月の頃、年十二、三歳になる顔色の青ざめた貧し気なる少年が突然二個の壺を携え来って、これは大沼新吉夫婦の遺骨であるから埋葬してくれるようにと言って去った。住職は少年の誰なるかを問うた時新吉の遺子である事を答えたばかりで、その後再び寺へは姿を見せなかったというはなしをわたくしに語った。

わたくしは新吉の事を探知するに何かの手がかりを獲はせまいかと思って、再び下谷区役所に赴き戸籍簿を調べて見た。

大沼新吉は明治十六年十二月二日徴兵猶予のため下谷区西黒門町二十一番地に転籍して戸主となった。然るに明治二十六年四月中家出して行衛不明となり、明治三十二年七月十九日に立戻った。