Japanische Klassiker mit Furigana
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ふしぎなしま
不思議な島
Lesen Sie 不思議な島 (ふしぎなしま) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.348 Zeichen · 13 Bildschirme
ちょうど鏡面に映っているのはこの島の海岸の市街であろう。小綺麗な家々の並んだのが見える。並木の梢に風のあるのが見える。伽藍の塔の聳えたのが見える。靄などは少しもかかっていない。何もかもことごとくはっきりと見える。僕は大いに感心しながら、市街の上へ望遠鏡を移した。と同時に僕の口はあっと云う声を洩らしそうになった。
鏡面には雲一つ見えない空に不二に似た山が聳えている。それは不思議でも何でもない。けれどもその山は見上げる限り、一面に野菜に蔽われている。玉菜、赤茄子、葱、玉葱、大根、蕪、人参、牛蒡、南瓜、冬瓜、胡瓜、馬鈴薯、蓮根、慈姑、生姜、三つ葉――あらゆる野菜に蔽われている。蔽われている? 蔽わ――そうではない。これは野菜を積み上げたのである。驚くべき野菜のピラミッドである。
「あれは――あれはどうしたのです?」
僕は望遠鏡を手にしたまま、右隣の老人をふり返った。が、老人はもうそこにいない。ただ籐の長椅子の上に新聞が一枚抛り出してある。僕はあっと思った拍子に脳貧血か何か起したのであろう。いつかまた妙に息苦しい無意識の中に沈んでしまった。
× × ×