Japanische Klassiker mit Furigana
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りこんについて
与謝野晶子評論集
与謝野 晶子
Lesen Sie 与謝野晶子評論集 (りこんについて) von 与謝野 晶子 (よさのあきこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 50.402 Zeichen · 100 Bildschirme
厳し過ぎる父母は屋根の上の火の見台へ出ることも許さなかった。父母は娘が男の目に触れると男から堕落させに来るものだと信じ切っていた。甚しい事には自分の寝室に毎夜両親が厳重な錠を下して置くのであった。雇人の多い家では――殊に風儀の悪い堺の街では――娘を厳しく取締る必要があることは言うまでもないが、自分ほど我身を大切に守ることを心得ている女をそれほどまでにせずともよいであろうに、自分の心持を領解してくれない両親の態度をあさましいと思って、心の内で泣いたことも多かった。
自分は生来外出を好まなかった所へ父母が其様であるから、少しは意地にもなって、全く人目に触れない女になってしまおう、誰が勧めても頼んでも店の薄暗い物蔭以外には一歩も出まいと決めていた。そうでなくても、兄は東京に学んでいる。妹は京都に学んでいる。弟はまだ土地の中学にいる。店を初め一家の締め括りのために自分はどうしても両親を助けて家にいなければならなかった。人はお嫁に行てから家政に苦労するのに、自分は反対に小娘の時から舅姑のような父母に仕えてあらゆる気苦労と労働とをしていた。そんな境遇にいたので異性と恋をするというような考も機会も全くなかった。