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Japanische Klassiker mit Furigana

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アラスカのひょうが

中谷宇吉郎紀行集 アラスカの氷河

中谷 宇吉郎

Lesen Sie 中谷宇吉郎紀行集 アラスカの氷河 (アラスカのひょうが) von 中谷 宇吉郎 (なかやうきちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 122.039 Zeichen · 248 Bildschirme

Aozora Bunko

木も草もない、この黒い月の世界では、風のない日は、音一つ聞えない。大気は澄みきっていて、雲ひとつない青空に、太陽だけが白く輝いている。

この人界を離れた世界では、いかにもこの世界にふさわしい現象が起る。その中でも、一番美しいのは、大空にうつる山の影である。大地にうつる山の影とか、雲にうつる山の影とかいうものならば、そう珍しくないが、ここでは、山の影が空にうつるのである。日が落ちて行くと、まず鞍部地帯からかげり始めて、その影が、次第にマウナ・ケアの山腹をはい上っていく。日はもう山稜のかなたに落ちているので、西の空だけが、茜色に光っている。鞍部は濃い紫色で、深海の底のような感じに沈んで見える。そしてマウナ・ケアの山頂だけが、赤く輝いている。

その頃になると、晴れ渡った東の空に、ふしぎな現象が起きる。地平線に近いところは、薄い橙色に染まり、それが青磁色の空にぼかしたように溶けこんでいる。その橙色が、次第にうすれていくうちに、いつの間にか、くっきりと藍色の山の影が現れてくる。これはマウナ・ロアの影であって、影の頂が、ちょうど山頂から見た水平線のところにできる。