Japanische Klassiker mit Furigana
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『せっかずせつ』のけんきゅう
中谷宇吉郎集 第二巻
中谷 宇吉郎
Lesen Sie 中谷宇吉郎集 第二巻 (『せっかずせつ』のけんきゅう) von 中谷 宇吉郎 (なかやうきちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 83.098 Zeichen · 172 Bildschirme
船は自然に引きよせられて、極めて徐々に動いてくる。こういう風にして、毎秒一回位の割合で、左右の手で交互に網をたぐり上げて行って、三時間位かかってやっと一方の隅まで魚を押しつめるのであるから、その労力は大変なものである。
その間ちっとも力をゆるめることは出来ないし、全身の力を船板にくっつけた胸の骨に持たしているのだから、身体のためにも悪いことだろうと思われる。こういう風にして網をたぐるのを、漁師たちは「胸しめ」といっているそうであるが、この胸しめを生業としている漁師の胸は鉄板のように固くなっているという話である。
何か少しばかり改良をして、簡単な器械でも使って、もっと楽にこの大謀網をしめることは出来ないかということをI君は考えているらしい。もっとも浪の荒い日などに、少し無理をすると網はすぐ破れてしまうので、そう簡単に器械化をすることは出来ないということになっているらしい。それにしても、人間の腕を歯車の歯の代りにしたり、胸の筋肉をクッションの代りに使ったりするのはどうも勿体ないような気がした。
それからもっと困ることは、こういう風にして毎日二回、午前と午後とに網をしめ、百三十人の人が三時間かかって、さて網をあげて見ると、小ものが数十尾ぐらいはいっていることが、まあ普通といってよいらしい。