Japanische Klassiker mit Furigana
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『せっかずせつ』のけんきゅう
中谷宇吉郎集 第二巻
中谷 宇吉郎
Lesen Sie 中谷宇吉郎集 第二巻 (『せっかずせつ』のけんきゅう) von 中谷 宇吉郎 (なかやうきちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 83.098 Zeichen · 172 Bildschirme
こちらが余裕をつけている間に、魚の方もちょっと身体を動かして、待機の姿勢というかたちになって待っている。そうなったらとても吾々の手には負えぬのである。
章魚はなかなか漁れなかった。島の根本の深く刳られた岩洞の奥には沢山いるらしかったが、そこへはとても潜り込む勇気はなかった。深さからいったら、大抵は奥行五尺位の簡単な洞穴だったが、奥の方を覗いて見ると、真暗なような気がして、それに水の色が妙に濃く碧玉色に澄んでいて、潜り込んだら最後身体が岩洞の天井に吸いつけられそうな気がした。勿論そういう岩洞は遠くから見ただけで失礼して、島の根本を半ば潜りながら周って行く。すると稀れには小さい穴の底から、藻と章魚の足とがもつれあってゆらゆらとなびき出ているのを見付けることがある。章魚は岩や藻とほとんど同じ色をしているので、馴れるまではなかなか見付からない。小さい章魚でも生きているうちはとても強いもので、特にあの沢山の足が腕にまつわりついて吸い付かれては耐らないので、ここと思う所を魚刺で突いて見る。巧く当ると章魚は慌てて足で魚刺の柄にからみついてくる。そこでぐいぐいと魚刺をひねると、章魚は苦しまぎれに全部の足で柄に吸いつく。