Japanische Klassiker mit Furigana
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『せっかずせつ』のけんきゅう
中谷宇吉郎集 第二巻
中谷 宇吉郎
Lesen Sie 中谷宇吉郎集 第二巻 (『せっかずせつ』のけんきゅう) von 中谷 宇吉郎 (なかやうきちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 83.098 Zeichen · 172 Bildschirme
直ぐ前は田舎の温泉町らしい狭い路に面していて、黒く古びた手すりにはいつも濡手拭がかけてあった。そして着いた日の午後には「御見舞で御座います」といってよく饅頭などが帳場から届けられたものであった。その後も二、三日おきに、団子とかいなりずしとかいう風のものを度々見舞に貰うのであったが、それが幼な心によほど嬉しかったとみえて、今でもおぼろげな記憶の片隅にそのような場面のいくつかが残っている。
湯治の客は一日に五度も六度も湯にはいって、上ると浴衣をひっかけて、黄色い畳の上にごろごろとねころんでいた。中には湯から上って、手拭で身体をふくと温泉の効目が弱ると言って、濡れた身体のままで椽側などにたたずんで、自然に乾くのを待っているような人もあった。その上一度の入湯というのがまた非常に長くて、よく浴槽の四角の一隅を占領して、頭を湯船の縁にもたせかけ、脚を他の縁にのせ上げて、身体だけを湯に浸しながら、うつらうつらと寝るでもなく覚めるでもないという風にして浸っている人が多かった。もっとも北海道の温泉地などでは、今でも時々はこんな風にしてねている人を見かけることがないでもない。