Japanische Klassiker mit Furigana
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Lesen Sie 丹下左膳 (たんげさぜん) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 340.187 Zeichen · 666 Bildschirme
ゆく手の門前に二、三大声がくずれかかるかと思うと、フラフラと眼のまえに迷い立った煙のような人影?
ぎょッ! として立ちどまったのをすかし見ると、長身痩躯、乱れた着前に帯がずっこけて、左手の抜刀をぴったりとうしろに隠している。
「せっかく生きとる者を殺して、何がおもしろい?」
泰軒の声は痛烈なひびきに沈んだ。
「うん? 何がおもしろい? お前には地獄のにおいがするぞ」
「…………」
が、相手は黙ったまま、生き血に酔ったようによろめいてくる。刀の尖が小石をはじいてカチ! と鳴った。
「おれとお前、見覚えがあるはずだ。さ! 来い! 斬ってみろ俺を」
こういい放った泰軒は、同時にすくなからず異様な気持にうたれて前方をのぞいた。片腕の影がすすり泣いていると思ったのは耳のあやまりで、ケケケッ! と、けもののように咽喉笛を鳴らして笑っていたのだった。
「斬れ! どうだ、斬れまいが! 斬れなけりゃあおとなしくおれについて来い」
悠然と泰軒が背をめぐらした間髪、発! と、うしろに跳剣一下して、やみを割った白閃が泰軒の身にせまった。
垣根に房楊枝をかけて井戸ばたを離れた栄三郎を、孫七と割りめしが囲炉裡のそばに待っていた。