Japanische Klassiker mit Furigana
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Lesen Sie 丹下左膳 (たんげさぜん) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 340.187 Zeichen · 666 Bildschirme
「ほほう。ここから戸外へ出られぬかな?」といっているから、さてははいってくるかも知れぬと思うまもなく、サッと板戸があいて、老若ふたりの浪人姿が黒い影となって戸口をふさいだ。そして暗い室内をしばらくのぞいているようだったが、やがて、ここからは出られぬことを見たものらしく、軽い失望の言葉を捨てて戸を閉めた。
二人の足音が遠ざかって、そのうちに台所ぐちからでも屋敷を出離れて行ったけはい。
これを娘お艶の男の栄三郎と知らぬおさよは、ほっとしてまた耳を傾けた。
今ふたり出ていったにもかかわらず、庭にはまだ剣のいきおいが漂って、撃ちあうひびき、激しい気合いが伝わってくる。
栄三郎に泰軒としては。
この鈴川の屋敷に、お艶の母おさよ婆さんが下女奉公にあがっていて、それがお艶が逃げたことから源十郎にひどいめにあわされているらしいと知っていたので、ついでに助け出したいとも思って納戸まであけてみたのだったが、世の中にはこういう変なことがすくなくない。救いを求める人と、救う目的でさがす人とが一度はこんなに近く寄りながら、たがいに相手を知らずにそのまま過ぎてしまう――これも人間一生の運命を作る小さなはずみのひとつかも知れなかった。