Japanische Klassiker mit Furigana
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Lesen Sie 丹下左膳 (たんげさぜん) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 340.187 Zeichen · 666 Bildschirme
一日も早く乾雲丸をお手におさめて弥生様と、弥生さまと――」
つっぷしたお艶、羽織を揉みながらなみだのあいだからかきくどいた。
「それがお艶の一生のお願いでございますッ! でも……でも、こんなにまでして、心にもないふしだらを並べてお怒りを買わねばならなかったお艶のしん中もすこしはお察しくださいまし。あとで何もかもわかりますから、そうしたらたったひとこと不憫なやつと――栄三郎様ッ! 泣いてやって、泣いてやって……」
気も狂わんばかりにもだえたお艶は、ガバッと畳に倒れて羽織を抱きしめた。
別れともなくして別れた男の移り香が、羽織に埋めたお艶の鼻をうっすらとかすめる。
それがまた新しい泪をさそって、お艶はオオオオウッ! とあたりかまわず大声に泣き放ったが、折りよくいつのまにか隣家に近所の子供が集まって、キャッキャッと笑いながら遊びさわいでいたので、お艶はその物音にまぎれてこころゆくまで慟哭することができたのだった。
まわりまわりの小仏さん
まわりまわりの小仏さん
となりのさざめきはつのるばかり――お艶も何がなしに幼い気もちに立ち返って小娘のように泣き濡れていた。