Japanische Klassiker mit Furigana
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Lesen Sie 丹下左膳 (たんげさぜん) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 340.187 Zeichen · 666 Bildschirme
まして、お艶と泰軒のあいだにどんな話しあいがあったやら、――そして泰軒はお艶をいずくへ伴い去ったことか?
……栄三郎は眠りに落ちた。疲れきって、こんこんと深い熟睡に。
深更。
ホトホトとおもての格子が鳴って、何者か女の声が……。
「栄三郎さま、もし、栄三郎様――」
うら口では、櫛まきお藤がキッと身をかまえた。
「栄三郎様……栄三郎さん!」
忘れようとして忘れることのできない女の声――それが夜更けをはばかって低く、とぎれがちに、眠っている栄三郎の耳に通う。
コトコト、コトコトと戸外から格子をたたいているらしい。
栄三郎ははじめ夢心地に聞いていた。
が、
「栄三郎様!」
という一声に、もしやお艶が帰って来たのではないかと思うと、もうあんな女にフツフツ用はないと諦めたはずの栄三郎、心の底に自分でもどうすることもできない未練がわだかまっていたのか……。パッと夜着を蹴ってはね起きるより早く、転ぶがごとく土間口に立って、
「お、お艶か!」
戸を引きあける――とたんに、ゴウッ――と露路を渡る吹雪風。
まんじ巴と闇夜におどる六つの花びらだ。
その風にあおられて、白い被衣をかぶったと見える女の立ち姿が……。