Japanische Klassiker mit Furigana
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Lesen Sie 丹下左膳 (たんげさぜん) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 340.187 Zeichen · 666 Bildschirme
きょうのべに絵の売上金のなかから小豆少量、奮発めされ! 奮発めされ! わっはっはっは」
「いやどうも、細い儲けを割くのは苦しゅうござるが、ほかならぬ先生の御無心……」
と栄三郎も、戯談めかして迷惑らしい口ぶり、
「殊には、先生のお祝い事とあれば拙者にとってもよろこびのはず。承知いたした! 小豆をすこし、栄三郎、今宵は特別をもってりっぱに奢りましょうぞ」
笑いながら、風流べに絵売りの扮装のまま、栄三郎は小銭の袋を手にしておもての往来へ出ていった……同居している泰軒のために小豆を買いに。
泰軒のために? ではない。
今朝ほどお艶から、彼女が、まだ生まれ出ない栄三郎の子を感じていると聞かされた泰軒、こうしてないしょに、ただそれとなく赤の御飯を炊いて栄三郎に前祝いをさせる気なのであろう――。
ガタピシと溝板を鳴らして、栄三郎の跫音が遠ざかってゆくと、泰軒居士、いたずららしい笑みとともにむっくり起きあがった。
「うむ! とうとう小豆を買いに参ったな。話せばどんなによろこぶかも知れぬが、今はまだ心からお艶どのを憎み恨んでいる最中、そのためかえって苦しみを増すこともあろうから、こりゃやっぱり、黙って、何事も知らせず祝わせてやるとしよう。