Japanische Klassiker mit Furigana
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Lesen Sie 丹下左膳 (たんげさぜん) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 340.187 Zeichen · 666 Bildschirme
空はあかるく、地は夢の国のように霞んでいる……。
膚さむい微風の底に、何がしの人の心を唆らずにはおかない仲春のいろが漂って、どこか遠くの町に火事があるのか、かすかに間伸びした半鐘の音が流れていた。
行春静夜。
しかし、それは暴風雨のまえのあの不気味なしずもりにすぎなかった。
今暁を期して瓦町に栄三郎方を突襲すべく宵のうちから本所の化物屋敷を出て、この料亭に酒汲みかわし、もうだいぶ時刻も移ったので、さあ、そろそろ出かけようではないか――という調子。くわえ楊子のほろ酔い気分でブラリといまその家を立ちいでて来たところだから、乾雲の一行、まさにひとつ出鼻をどやされた形で、ちょっと立ちおくれざるを得なかった。
しかも! 諏訪栄三郎、飛び出すとともにはやひとり斬り捨てているのだ。
抜く手も見せず……ということをいうが、ちょうどそれ。
声高に話し合いながら三々伍々、金剛神院お庭の小径を徒歩って、先に立った法勝寺三郎がとある繁みのまえへさしかかった時だった。
やにわに黒いものが躍りでたかと思うと、氷刃一閃――三郎のどこへくいこんだのか、そのままかれは土を舐めて、代りにそこに立っているのは、血線あざやかな武蔵太郎を引っさげた諏訪栄三郎であった。