Japanische Klassiker mit Furigana
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Lesen Sie 丹下左膳 (たんげさぜん) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 340.187 Zeichen · 666 Bildschirme
「…………」
無言、一気にわってさげようとした――が!
余人なら知らぬこと、月輪にあっても荒殺剣の第一人者として先代月輪軍之助に邪道視され、それがかえって国主大膳亮のめがねにかない、一徒士の身をもって直接秘命を帯び、こうして江戸に出て来たのち、幾多の修羅場をはじめ逆袈裟がけの辻斬りによって、からだがなまぐさくなるほど人血を浴びて来た左膳のことだ。いかに栄三郎、神変夢想の万化剣をもつといえども、いまだ白昼の一騎勝負に左膳をたおすことはできなかった。
と見えて。
サッ! と電落した武蔵太郎の刃先にかかり、折りからの風に乗ってへんぽんと左膳の足をはなれたのは、着物とそうして、女物の肌着の裾だけ……。
「むちゃをやるぜオイ!」
いつしか飛びのいて立ち木に寄った左膳が、こう白い歯を見せて洒々然と笑ったとき!
ヒュウッ!
どこからとも知れず、宙にうなって飛来したのは、いわずもがな、人猿山椒の豆太郎投ずるところの本朝の覇、手裏剣の小柄!
「こりゃアいけねえ……南無三」
左膳のうめきが、海底のような子恋の森の空気をゆるがせて響き渡った。
飛びきたった豆太郎の短剣は、危うく左膳の首をよけて、ブスッと音してその寄りかかっている木の幹につき立っただけだったが、場合が場合、左膳の驚きは大きかったのであろう。