Japanische Klassiker mit Furigana
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Lesen Sie 丹下左膳 (たんげさぜん) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 340.187 Zeichen · 666 Bildschirme
その、大きな醜悪な顔を間近に見たとき、弥生はもはや観念のまなこをつぶろうとした。
飼い犬に手を咬まれるとはこのこと。
弥生は、生ける心地もなく、それでも今にも得印老士の一行が帰ってこないものでもないからのがれられるだけのがれるつもりでなおも抗争をつづけていると……。
食いしばった歯のあいだから、哀願するごとく豆太郎がいう。
「ねえ弥生さん! わたしゃ今までお前さんのために無代で働いて来た。何ひとつ、礼をもらったことがねえ。それというのも、女としてのお前さんにあッしゃアたった一つのこの望みがあったからだ。よう、そう没義道なこといわねえで――!」
と、こんどは手を合わして拝まんばかりにあわれっぽくもちかけてくるのを、決然として飛びのいた弥生は、手早く着くずれをなおしながら、
「さがれッ! 言語道断な奴めッ! かならずその分には捨ておかぬぞッ!」
小野塚伊織のいきで大喝すると!
「エイ! もうこれまでだッ!」
わめいた山椒の豆太郎、いっそう荒れ狂って跳びついてくる。
流し場……すべる。
足場がわるい。
ツルリと足をとられて倒れた弥生へ、半狂乱の豆太郎が獣のごとく躍りかかって――落花狼藉……。