Japanische Klassiker mit Furigana
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かずえはいそがしい
主計は忙しい
山本 周五郎
Lesen Sie 主計は忙しい (かずえはいそがしい) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.315 Zeichen · 37 Bildschirme
一
一
持って生れた性分というやつは面白い。こいつは大抵いじくっても直らないもののようである。筆者の若い知人に、いつも「つまらない、つまらない」と云う青年がいた。なにがそんなにつまらないのかと訊くと、「なにもかもつまらないんです、別に理由はないんで、ただつまらなくってしようがないんです」と答える、「――なにしろ尋常三年生のときからこっちずっとつまらないんですから」こう云って欠伸をした。それからまた、「こいつは遺伝かもしれません、親父もよくそう云ってましたからね」などと云いだした、「――うちは百姓ですが、親父はなんにもしやしません。一日じゅう座敷に坐って、莨をふかしたり寝ころんだり、古いぼろ三味線を持ち出して来て、ぽつんぽつん糸を弾いたりしているんです、そんなものすぐに抛りだして、欠伸をして寝ころんじまう、そうしちゃあ溜息をついて、ああつまらねえ、よくそう云ってましたよ」要するに親の代からつまらないというわけで、さすが物に動ぜざる筆者も、これには挨拶の言葉がなかった。
牧野主計はひじょうに多忙である。彼の日常をみればわかるが、こっちの頭がちらくらするほど忙しい、もちろんそういう位置にもいたわけだが、性分がもう少しどっちかへずれていたら、それほど忙しがらずとも済んだ筈である。