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Japanische Klassiker mit Furigana

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かずえはいそがしい

主計は忙しい

山本 周五郎

Lesen Sie 主計は忙しい (かずえはいそがしい) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.315 Zeichen · 37 Bildschirme

Aozora Bunko

と声をかけ、そのまま接待へはいっていった。――木下六郎兵衛は川越の秋元但馬守の家臣で、牧野とは遠縁に当っていたし、主計とはごく幼い頃からの親しい友だった。一人息子で父が去年亡くなってから、家督を継いで母とふたりで暮している。木下も母親も暢気な性分で、ときたま訪ねる主計には、自分の家より気楽で居ごこちがよかった。

「やあ待たせて済まなかった、ばかに暑いじゃないか、春でも来たようじゃないか」こう云いながら主計は坐る、「――たいへん待ったかね、しかしばかに早くどうしたんだ」

「相変らずおちつかないな」六郎兵衛はにやにやする、「――第一に暑くなんかない、寧ろ今朝は冷えるよ、寒いと云ってもいいくらいだ、第二にそうたいして待ちゃあしない、つい今しがた来たばかりさ、第三に早く来ることは知っている筈だ、昨日ちゃんとそう云ってあるんだから」

「昨日だって、おまえが、……おれにか?」

「おい冗談じゃないぞ」六郎兵衛は口をへの字なりに曲げた、「――それじゃあ頼んでおいたことも忘れたのか」

「ああそうか、そうか、あれは今日かね」

主計はにやっと笑う、相手もにやっと笑う。だが主計はまだ頼まれた用件というのを思いだせない、そこで話を転じようと、一種の表情をするとたんに、六郎兵衛はちゃんと察して答えを出してやった。