Japanische Klassiker mit Furigana
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くさかようこのたんじょうとしぼう
久坂葉子の誕生と死亡
久坂 葉子
Lesen Sie 久坂葉子の誕生と死亡 (くさかようこのたんじょうとしぼう) von 久坂 葉子 (くさかようこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.580 Zeichen · 16 Bildschirme
今からざっと三年半前、一九四九年の夏前に、久坂葉子は、この世に存在しはじめた。人間の誕生は、偶然に無意識のうちに、それでいておごそかに行われるものだと思う。しかし、この名前は、自分の意識的な行為によって名附けられ、誕生を強いたのであった。この名を、原稿用紙の片隅に記した時は、私一人しか認めることの出来ない名前であったのだから、確かに、この世に存在し得たものではなかった。誰かが認めなければ、その物体の存在価値など、零であるのだ。
その時、雨が降っていたように思う。私は女学校の時の友人につれられて、島尾敏雄氏の六甲の家を訪問した。それ以前から、私は小説を書いたり詩をノートのはしくれに鉛筆書きしたりしていて、ほんの少し、文学らしいものへの動きは、周囲の人達に感づかれていたのだ。父が俳句をやっていた影響で、登水という号を父からもらい、句会に列席したことなどあるが、それは約半年位で、自ら、俳句をつくることをよしてしまっていた。その後、本名で、詩を投稿し、その一つは「百世」、その一つは「文章倶楽部」に、送ったものは必ず残るといった調子で、本屋の店頭に、わが名を見出したこともあったのだ。