Japanische Klassiker mit Furigana
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いきりょう
久生十蘭ジュラネスク 珠玉傑作集
久生 十蘭
Lesen Sie 久生十蘭ジュラネスク 珠玉傑作集 (いきりょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.698 Zeichen · 42 Bildschirme
そう言って、また、つくづくと三十郎の顔を見て、
「でも、ふしぎね……あなた、ほんとうに、狐ではないこと?」
「どうしてです」
「どうして、って、あまり、ふしぎですから」
「なぜ、そんなに僕の顔ばかり見るんです」
「失礼ですけど、あなた、死んだ兄とそっくりなんです。奇妙でしようがない」
「そんなに似ていますか」
「ものを言うたびに、唇の端を強く引くところ。……そんなところまでそっくりなんですの。こんなことってあるものでしょうか」
「そうですか」
「くだらないとお思いになるかも知れませんけど、あまりよく似ていらっしゃるので、狐があたしを化かしに来たのだと思いましたよ。隙を見せるといい気になるから、ほどよくあしらっていたんですわ」
「そう言えば、宿でもそんなことを言われました。……弥之じゃないか、弥之じゃないか。……あなたの兄さんは、じゃ、弥之というのですか」
「……関原弥之助。祖父と祖母があなたをお見かけしたら、きっと泣き出してしまったでしょう、兄だと思って」
急に袖を引合せるようにして、
「あなた、どんなご用事でしたの、この辺……」
「当なしです……気が向いたら和倉へでも行こうかと思っているくらいのとこで」