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Japanische Klassiker mit Furigana

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いきりょう

久生十蘭ジュラネスク 珠玉傑作集

久生 十蘭

Lesen Sie 久生十蘭ジュラネスク 珠玉傑作集 (いきりょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.698 Zeichen · 42 Bildschirme

Aozora Bunko

「でも、僕が松久だということをどうして……」

「お仕事はいつも拝見させていただいて居りました。……明日にでもご挨拶にあがろうと思っていたところでしたの。……あたし、兄と一緒に、ずっと海原先生に見ていただいて居りました。まだ、ほんのもの真似ですけど。……いちど、『栃の花』というのを出品したことがありました」

三十郎はすぐ思い出した。三年ほど前の帝展で見た薄桃色の花をいっぱいにつけた栃の木の絵。その美しさを正目で見たく、こうして東京を出て来たわけだったが。

「そうでしたか。……あれは拝見しました」

「お恥しいもので」

「いや、なかなかよくて、僕は好きでした。あなたは、この辺をよくごぞんじのようですね」

「あたしの故郷ですから。……兄が台治荘の滕県城で戦死してから、祖父と祖母があまり淋しがるので、こちらへ帰って来ましたの……もう二年になりますわ。……このごろは絵なぞすっかりやめて、こんなことをして遊んでばかり居ます」

「もう、東京へはお出にならないのですか」

「あたしがここに居てやりますと、祖父も祖母もたいへんに嬉しがるので、それを振りすててまで東京へ出たいとは思いません」