Japanische Klassiker mit Furigana
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いきりょう
久生十蘭ジュラネスク 珠玉傑作集
久生 十蘭
Lesen Sie 久生十蘭ジュラネスク 珠玉傑作集 (いきりょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.698 Zeichen · 42 Bildschirme
私は、修道院で客泊館といわれている別棟の建物の中に寄宿し、オルガンとラテン語の初歩を勉強することになった。院長の人選にあずかった私のラテン語の先生は、ベルナアルさんだったのである。
ベルナアルさんは、私が行く一年前の春、何度目かの破戒をし、ちょうど贖罪の最中だった。
さすがにその辛さがこたえたとみえ、祈祷と労働の一日の課業が終わると、ほかの修道士たちに出逢わないですむようにたった一人で林や谷の中を歩きまわっているのだった。
じぶんの独房にも僧院の廻廊にも滅多にいたことはなく、野山羊のようにいっさんに谷や林の中へ逃げ込んでしまうので、ベルナアルさんを捜すのは修道院でも骨の折れる仕事の一つになっていた。
その日はまたよほどうまいところへ逃げこんでしまったとみえて、どうしてもベルナアルさんに行きあうことが出来ない。
院長さんは、人の良い温厚な顔に困惑の色をうかべながら、
「それにしても、ベルナアルさんは、どこに隠れているのでしょう。たいていなら、このくらい骨を折ると、どうにか捉えることが出来るのですが、一所懸命に逃げ出してしまうので……」
と、気の毒そうに言った。