Japanische Klassiker mit Furigana
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のりあいじどうしゃ
乗合自動車
川田 功
Lesen Sie 乗合自動車 (のりあいじどうしゃ) von 川田 功 (かわだいさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.957 Zeichen · 8 Bildschirme
「又見付やがったなッ。あんな者は別に邪魔にはならないさッ」彼は心の裡で独語した。
車は交叉点を横切ると、速力を緩急する毎に乗客を投付けたり、錐揉みの様にしたりしては走り続けた。恰度険阻を行く様に波打ったり傾いたりした。
「おっと危い」
彼は思わずこう云って天井裏を這って居る真鍮の棒を堅く握り締めた。車が京橋に停った時の大動揺であった。此時彼の躯は、右脇へ来て立って居た前の貴婦人と衝突したのであった。
「ご免なさい」無意識の間に彼は謝罪の挨拶をした。が、婦人は恐らく聞取らなかったであろう。
「あいたッたッ……お痛いッ、何てひどい事を……」
殆んど泣声になって婦人は叫んだ。彼が足を踏付けて居たのであった。彼は附近の人に恥かしい顔を見られ乍らも、足を退いて謝罪の言葉を繰返さなければならなかった。それでも婦人の怒は解けそうでなかった。其儘お化にも成り兼ねない眼をして睨み付け乍ら、独語の様に云った。
「おお痛い。……貸切に乗って居るんじゃあるまいし、随分ひどい事をする」
と、宛然彼が故意にでもやった様に云うのであった。気の早い隼英吉は疳癪玉を破裂さした。
「ようし、復讐して遣ろう。