Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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くがつのあるひ

九月の或る日

宮本 百合子

Lesen Sie 九月の或る日 (くがつのあるひ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.130 Zeichen · 11 Bildschirme

Aozora Bunko

――直観なすったところじゃ違いませんが、水分をふくむから召上りではあります」

派手な旗を長く巻いて棒にしたようなマカロニを持って帰りながら二人は随分笑った。

「直観はいいわね」

「面白いんですね、なかなか」

網野さんは濃い眉毛をもち上げるようにして笑った。いつも笑う拍子に、小さい金をかぶせた歯が一つちらりと見える。他の歯は大人の歯だのにそれだけ金色で一本子供のままに小さい。幼い娘だった時分、金歯にしてしてとねだって一本何でもないのに金で包んで貰ったのがそのままになっているのだそうだ。

「その歯、おかしくて可愛いいわ」

「いやだ――何だか小っぽけな癖に生意気らしいんですもの」

その晩泊り、三人一つ蚊帳に眠った。その時、土曜日に何処かへ行きましょうと云った。

二

土曜日は四日で、あの大暴風雨であった。六日に麹町の網野さんのところまで誘いに行った。往きに私の歯医者を紹介する約束があった。飯田橋で三時すぎYと落ち合い、万世橋行の電車に乗った。

「網野さんに行く先まだ秘密なのよ」

「え?――何処です――銀座の方じゃあないんですか」

「違うらしいわ」

網野さんは九月中から暫く東京を離れることになっていた。