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Japanische Klassiker mit Furigana

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にじゅうしのひとみ

二十四の瞳

壺井 栄

Lesen Sie 二十四の瞳 (にじゅうしのひとみ) von 壺井 栄 (つぼいさかえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 113.429 Zeichen · 227 Bildschirme

Aozora Bunko

「ねえさん、あっちで待とうじゃないか。日向だけはタダじゃ」

そういってさっさと反対側乗場の方へ道を横ぎった。ねえさんと呼ばれて思わずにやりとしながら、女客もあとを追った。――ねえさん、か。と、女客は心の中でいってみて、背の高いおじいさんをふりあおぎ、笑いながらたずねた。

「おじいさん、どちらですか」

「わしか。わしゃ岩が鼻でさ」

「そうですか。わたしは一本松」

「ああ一本松なあ。あっこにゃ、わしの船乗り朋輩があってな。もうとうの昔に死んだけんど、大石嘉吉という名前じゃが、あんたらもう、知るまい」

それをきいたとたん、女客はとびあがるほどおどろいて、

「あら、それ、わたしの父ですが」

こんどは、おじいさんが、ひらきなおるようなかっこうで、

「ほう、こいつはめずらしい。そうかいな。今ごろ嘉吉つぁんの娘さんにあうとはなあ。そういや似たところがある」

「そうですか。父はわたしが三つのとき死にましたから、なんにもおぼえとりませんけど、小父さん、いつごろ父といっしょでしたの」

おじいさんを小父さんとあらためて呼んだのも、生きていれば父もこのぐらいの年配かと思ったからだ。

いうまでもなく、大石先生の、あれから八年目の姿である。