Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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にじゅうしのひとみ

二十四の瞳

壺井 栄

Lesen Sie 二十四の瞳 (にじゅうしのひとみ) von 壺井 栄 (つぼいさかえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 113.429 Zeichen · 227 Bildschirme

Aozora Bunko

これがもし、半年前のことならば、とびとびして喜んだろうが、今ではもう、そうかんたんに、いかない事情が生まれてきていた。だから、口をついて出たことばは、お礼ではなかった。

「あのう、もうそのこと、きまったんでしょうか。後任の先生のことも」

まるでそれは、とんでもないといわぬばかりの口調である。

「きまりました。きのうの職員会議で。いけませんかい」

「いけないなんて、それは、そんなこという権利ありませんけど、でもわたし、やっぱりこまったわ」

そこにお母さんでもいたら、大石先生は叱りつけられたかもしれぬ。しかしお母さんは、茶菓子でも買いにいったらしく、出ていったあとだった。校長先生はにこにこ笑って、

「なにが困るんですか?」

「あの、生徒と約束したんです。また岬へもどるって」

「こりゃおどろいた。しかし、どうしてかよいますかね。お母さんのお話だと、とうぶん自転車にものれんということだったので、そうはからったんですがね」

もう、いいようがなかった。すると、岬の村がいっそうなつかしくなり、思わず未練がましくいった。

「後任の先生は、どなたでしょう」

「後藤先生です」

「あら!」