Japanische Klassiker mit Furigana
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はたちのエチュード
二十歳のエチュード
原口 統三
Lesen Sie 二十歳のエチュード (はたちのエチュード) von 原口 統三 (はらぐちとうぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 61.578 Zeichen · 125 Bildschirme
感冒にかかって、絶えず寒気をおぼえるようになることだ。
ほんの些細なことが、君を驚かせるだろう。木の葉の微かな戦ぎが、書物のページのふと落ちる音が、通りすがりの垣根で嗅いだ名も知らぬ花の匂いが、君の呼吸をとめてしまうだろう。どんなにわずかな扉の隙間からでも夜風は忍びこんで、君の傷口にしみわたるだろう。
思い出はどこにでもあり、夢はいかなる形にでもある。
僕は、紅茶一杯でどんな夢でも見ることができた。仲間から離れて鍵を下した一部屋で――僕の周囲をとり巻いていたのは、数百の書物と、汚れた白壁だけであった――黙って茶碗のスプーンを動かしている――この単調な動作の中から、僕の詩集が生まれたのだった。
*21
僕は異常な記憶力を備えていた。
しかし思い出は僕にとってこの上なく退屈なものであった。すなわち、僕は過去に向かって、忘却にも似た痴呆の眼をひらいていたのだ。僕は時おり、退屈の臥床から起き上がってペンをとったものだ。
今日、僕には思い出が退屈には感ぜられない。
恐らく、それと共に、今日の僕の記憶力も、臨終の床に夢を見る老耄れどもの乾枯びた脳髄と同じくらいに衰耗しているのに違いない。