Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

はたちのエチュード

二十歳のエチュード

原口 統三

Lesen Sie 二十歳のエチュード (はたちのエチュード) von 原口 統三 (はらぐちとうぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 61.578 Zeichen · 125 Bildschirme

Aozora Bunko

「新しい」とは僕の詩論においては「学而時習之」という論語の一句を、まじめに受けとることだったようだ。

僕の少年らしい魂は、厳粛であろうとした。「思無邪」の前に。

*90

高島巌。この親切な、頑健な、それでいて気の弱い友が、今日僕の旅立ちについてこう尋ねた。

「もう帰って来ないのか」

「ああ、帰らないよ」

(思い切って「死ぬのか」と聞けないので)

「じゃあ、永久に vagabond(彼はこれを『バカポン』と発音する)のわけだね」

*91

今日、節ちゃん、道ちゃん、和枝さん、――あの「生きている」人々と、僕と橋本とで、最後のあわただしい銀ぶらをして別れた。

もう、すっかり、秋の匂いが街々にみなぎっていた。

夜の降りた戦災地区の、ひっそりとひろがった風景の中に、幾つかの燈火が浮き上がって、貧しいけれど暖い生活の営みを、やさしげな低音で歌っていた。

僕らを乗せて走る満員電車の、壊れた窓々を抜けて、涼しい風が吹きつづけた。

道ちゃんが、洋傘に倚って立ったまま、子供らしい顔で居眠りしているのを僕は見た。

僕の冷たい頬を撫でて、幾度も通り過ぎる夜風の一つ一つに、僕は、遠い幼年時の窓で、野原で、海のほとりで、あるいは学校の行き帰りにふと耳にした、あの微風の声のドレミファを嗅ぎ分けた。