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Japanische Klassiker mit Furigana

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にごうごしゃくにかんするあいこくてきこうさつ

二合五勺に関する愛国的考察

坂口 安吾

Lesen Sie 二合五勺に関する愛国的考察 (にごうごしゃくにかんするあいこくてきこうさつ) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.935 Zeichen · 16 Bildschirme

Aozora Bunko

勝手に戦争をはじめたのは軍部で、勝手に降参したのも軍部であった。国民は万事につけて寝耳に水だが、終戦が、しかし、自分の意志でなかったという意外の事実については、おゝむね感覚を失っているようである。

国民は戦争を呪っていても、そのまた一方に、もっと根底的なところで、わが宿命をあきらめていたのである。祖国の宿命と心中して、自分もまた亡びるかも知れぬ儚さを甘受する気持になっていた。理論としてどうこうということではない。誰だって死にたくないにきまりきっている。それとは別に、魔物のような時代の感情がある。きわめて雰囲気的な、そこに論理的な根柢はまったく稀薄なものであるが、ぬきさしならぬ感情的な思考がある。

家は焼かれ、親兄弟、女房、子供は焼き殺されたり、粉みじんに吹きとばされたり、そういう異常な大事にもほとんど無感覚になっている。人ごとではない。自分とて今日明日死ぬかも知れず、いな、昨日死なゝかったのがふしぎな状態を眼前にしながら、その戦争をやめたいとみずから意志することは忘れていたのである。

忘れていたのではない、その手段がありえなかったからあきらめていたのだといっても、おなじことで、要するにあきらめていた。