Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
にごうごしゃくにかんするあいこくてきこうさつ
二合五勺に関する愛国的考察
Lesen Sie 二合五勺に関する愛国的考察 (にごうごしゃくにかんするあいこくてきこうさつ) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.935 Zeichen · 16 Bildschirme
勝手に戦争をやめ、降参したのは、まさしく天皇と軍人政府で、国民の方はおゝむね祖国の宿命と心中し、上陸する敵軍の弾丸、爆弾、砲弾の隙間をうろうろばたばた、それを余儀ないものにおもっていたのだ。
もとよりそれは本心ではない。人間の本心というものは、こればかりはわかりきっているのだから。曰く、死にたくない、ということ。けれども、本心よりも真実な時代的感情というものがある。人の心には偽りがあり、その偽りが真実のときは、真実が偽りでありうることもある。人の心は儚い。心の真実というものが儚いのだ。
戦争中のわれわれは、たゞ宿命の子供であったから、それで二合一勺ぐらいの配給に不足もいわず、芋だの豆の差引だの、欠配だの、そういうことに不平や呪いがあるにしても、同時にあきらめていたのである。不平や呪いは自我のこえであるが、自我はすでに影であり、宿命の子供が各人ごとの心に誕生して、その別人が思考し、生活していたからであった。
★
戦争は終った。しかし、戦争の宿命の子供はまだわれわれの自我と二重の生活をしており、主としてわれわれはまだ今日も宿命の子供で、ほんとうの自我ではないらしい。