Japanische Klassiker mit Furigana
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にとうしゃにのるおとこ
二等車に乗る男
豊島 与志雄
Lesen Sie 二等車に乗る男 (にとうしゃにのるおとこ) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.342 Zeichen · 13 Bildschirme
その歩廊に立った時、私もまた不平を続けた。「こんな線の二等に乗るなんて、君にも似合わんじゃないか。」
「でも私は、他のところはどこも三等ですが、この線だけは二等にきめてるんです。」
その調子が真面目くさってるだけに、私は少なからず驚かされた。いつも貧乏で、そして反ブールジョアジー的な口吻を洩してる高木が、最もブールジョア的なこの線の電車だけ二等に乗るとは、どう考えても不思議だった。
が、そのうちに電車が来て、私達の話は途切れた。
狭い車室ではあるが、乗客は七八人きりだった。
高木は室の片隅に腰掛けて、私が話しかけても気乗りしない簡単な返辞をするきりで、その様子から表情まで、何だか一つのことを思い耽ってるがようだった。で私は、先刻の抗議で彼の気嫌を害したのかなと考えてみたり、彼は全く今日はどうかしてると考えてみたりしたが、結局彼の気持を尊重して、口を噤んで窓外の景色を眺め初めた。
電車の動いてる間、高木はステッキの頭に両手をかけ、その上に顔を伏せて、足先に眼を落していた。そして電車が駅にはいると、急に顔を挙げ上半身を乗り出すようにして、歩廊に立ってる人々を物色し初めた。