Japanische Klassiker mit Furigana
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にじゅうしんぞう
二重心臓
夢野 久作
Lesen Sie 二重心臓 (にじゅうしんぞう) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 65.188 Zeichen · 129 Bildschirme
」
「そんなに恐ろしい脅迫力を持った人間が、この世の中に居るものでしょうか。自分を殺しかねない相手という事が、被害者にわかっていれば尚更じゃないですか」
「そこだよ。そこに何となく大きな矛盾が感じられるからね。判検事も司法主任も相当弱っていたらしいんだが、間もなくその矛盾が解けたんだ」
「ほう……どうしてですか」
「わからんかい」
「わかりませんねトテモ。想像を超越した恐ろしい事件としか思えませんね。これは……」
「ナアニ。それ程の事件でもなかったんだよ」
「ヘエ。どうしてわかったんです」
「その事務机の曳出を全部調べたら、右の一番下の曳出から脅迫状が出て来たんだ」
「ホオー。何通ぐらい出て来たんですか」
「それがソノ……タッタ一通なんだ。僕はよく見なかったが、司法主任の横からチョット覗いてみると普通の封緘ハガキに下手な金釘流でバラリバラリと書いたものじゃったよ。表書は単に大森山王、轟九蔵様と書いて、差出人の処書も日附も何もない上に、消印がドウ見てもハッキリわからん。一時は良かったが近頃の郵便局の仕事はドウモ粗慢でイカンね。司法主任はスッカリ憤っとったよ。当局に申告して消印のハッキリせぬ集配局を全国に亘って調べ出してくれると云っておったが……」