Japanische Klassiker mit Furigana
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にじゅうしんぞう
二重心臓
夢野 久作
Lesen Sie 二重心臓 (にじゅうしんぞう) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 65.188 Zeichen · 129 Bildschirme
「中味にはドンナ事が書いてあったんですか」
「ただコレだけ書いてあった。大正十年三月七日……芝居ではないぞ……と……」
「大正十年三月七日……芝居じゃない……」
「ウン。そうだ。それから泣いている娘……だか何だかわからんが、世間からは娘と同様に見られとるからそのつもりで話するが……その娘の甘木三枝こと天川呉羽嬢を呼出して、その脅迫状を見せるとコンナ字体についてはチットモ記憶がない。文句の意味も何の事やらカイモクわからぬ。前にコンナ手紙が来たような事実も記憶しておらんと云う」
「成る程。……そこでサッキの呉羽嬢のお祈りの文句に触れてみたかったですな。何か参考になる事を喋舌らして……」
「ウン司法主任がチョット触れていたよ。ちょうどその時に、女中を訊問していた刑事の梅原君が、その事に就いて取あえず報告したもんだからね……すると果せる哉だ。……あれは妾があの時口惜し紛れにそう申しましただけの事で、女の妾に何がわかりましょう。犯人が出て行った方向を拝みましたのは、そうすると遠くに居る犯人が何となくドキンドキンとして思わぬ失策を仕出かすという迷信が、外国の芝居に使ってありましたのでツイ、あんな事を致しまして……と真赤になって弁解しておった。