Japanische Klassiker mit Furigana
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ごがつのあさのはな
五月の朝の花
岡本 かの子
Lesen Sie 五月の朝の花 (ごがつのあさのはな) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 715 Zeichen · 2 Bildschirme
ものものしい桜が散った。
だだっぴろく……うんと手足を空に延ばした春の桜が、しゃんら、しゃらしゃらとどこかへ飛んで行ってしまった。
空がからっと一たん明るくなった。
しんとした淋しさだ。
だが、すこし我慢してじっと、その空を仰いでいた。
じわじわと、どこの端からかその空がうるんみ始めましたよ、その空が、そして、空じゅうそのうるみが拡がって。
その時、日本の五月の朝の中空には点々、点々、点々、点々。細長いかっちりした薄紫の鈴――桐の花です。お洒落でつつましやかで、おとなしくてお済しで、群っていても実は孤独で、おっとりしていてもなかなか怜悧で。しのびやかにしかもはればれと桐の花。
桐よりも、ずっと背が高いのにせんだんの気の小さいポチポチ花。
だが咲くだけ咲いてしまえば実に思い切りよく大ふうにさらさらと風にまかせて銀砂の様に私達の歩道に、その純白の粉花を一ぱいに敷きつめてくれる。
もう少し行って御らんなさい。
そら、大粒の赤玉、白玉のメノーを七宝の青い葉茎がくっきりうけとめている、チューリップ!
ルビーと紫水晶のかけらのスイートピー。
くじゃくの彩羽の紋所ばかり抜いて並べたパンジー。