Japanische Klassiker mit Furigana
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ごかいのまど
五階の窓
江戸川 乱歩
Lesen Sie 五階の窓 (ごかいのまど) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.189 Zeichen · 21 Bildschirme
なにもかもこの私が呑み込んで居ります、御気づかいなくという意味をこめて、一寸腰をかがめると、北川は社長室を出て、隣の事務室へ帰った。
二室を打抜いた広間には、一列にデスクが並んで、十数名の男女が事務を執っている。北川は、その一方の隅のタイピスト達の席を眺めた。「奴さん又やっているな」会計係の野田幸吉とタイピストの瀬川艶子とが、席を並べてヒソヒソ話し合っているのを見ると、北川は意地の悪い微笑を浮べて、その方へ近づいて行った。
「瀬川さん」
野田と艶子とは、ハッとした様に話をやめて顔を上げた。北川は二人の顔をジロジロ眺めながら、
「お話中で何だけれど、瀬川さんに社長さんが御用ですって」
「社長さんが」艶子は眉をしかめて「社長さんお一人でしょう。いやだわあたし」
「何ぜさ」北川はからかい顔に聞返す。
「だって、何の御用でしょう」
「極っているじゃないか、手紙の速記さ。兎角美しい人は御用が多いのさ」
「アラ、覚えてらっしゃい。この間のこと社長さんに云いつけて上げるから」
「コラッ」
北川が態と怒った顔をして、つかみかかるのを、巧みに避けて、それをきっかけに、艶子は社長室へと逃げて行く。