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Japanische Klassiker mit Furigana

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『いぶせますじせんしゅう』こうき

『井伏鱒二選集』後記

太宰 治

Lesen Sie 『井伏鱒二選集』後記 (『いぶせますじせんしゅう』こうき) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.132 Zeichen · 20 Bildschirme

Aozora Bunko

などを中心にして、昔のことを物語ろうと思う。

井伏さんは、今でもそれは、お苦しいにはちがいないだろうが、この「青ヶ島大概記」などをお書きになっていらした頃は、文学者の孤独または小説の道の断橋を、凄惨な程、強烈に意識なされていたのではなかろうか。

四十歳近い頃の作品と思われるが、その頃に突きあたる絶壁は、作家をして呆然たらしめるものがあるようで、私のような下手な作家でさえ、少しは我が身に思い当るところもないではない。たしか、その頃のことと記憶しているが、井伏さんが銀座からの帰りに荻窪のおでんやに立寄り、お酒を呑んで、それから、すっと外へ出て、いきなり声を挙げて泣かれたことがあった。ずいぶん泣いた。途中で眼鏡をはずしてお泣きになった。私も四十歳近くなって、或る夜、道を歩きながら、ひとりでひどく泣いたことがあったけれども、その時、私には井伏さんのあの頃のつらさが少しわかりかけたような気がした。

しかし、つらい時の作品にはまた、異常な張りがあるものらしく、この「青ヶ島大概記」などは井伏さんの作品には珍らしく、がむしゃらな、雄渾とでもいうべき気配が感ぜられるようである。