Japanische Klassiker mit Furigana
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ぼうれいホテル
亡霊ホテル
山本 周五郎
Lesen Sie 亡霊ホテル (ぼうれいホテル) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.706 Zeichen · 20 Bildschirme
みどりの危難
――受話器を取ると、いきなり活々した少女の声で、
「あら、お兄さまね?」
と叫ぶように云う。牛込若松町に母と二人で住んでいる妹のみどりだった。――伊藤青年とは七つ違いの今年十八で、みどりの下の二字だけ取って「ドーリイ」と呼ばれているお侠な女学生だ。
「なんだ、ドーリイじゃないか」
「ひどいわ、東京へいらしったのにどうして家へ知らせて下さらないの?」
「君は又どうして僕の来たことを知ったんだ」
「ゆうべホテルのロビイでお友達がお兄さまを見かけたんですって、慥かにお兄さまらしいからって知らせて来たのよ、どうして家へいらっしゃらないの?」
みどりの危難
「矢張りそうよ」
みどりは電話を切って母の方へ振返った。
「で、一体どうしたんだって?」
「なんだか秘密を要する研究報告のために、鹿谷博士と御一緒に上京したんですって、だからそれが済むまでは家へ来られないって」
「そう――じゃあおまえ、福岡の方へ送る積りで用意しといたズボン下やシャツを持って行ってお上げな」
「そうね、どうせ学校の帰りに麻布の村上さんを訪ねるお約束だから行くわ、そして汚れ物があったら持って来るわね」
一年ぶりで兄に会えると思うと、みどりはもう心も浮々として来るのだった。