Japanische Klassiker mit Furigana
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ひとのこのおやとなりて
人の子の親となりて
Lesen Sie 人の子の親となりて (ひとのこのおやとなりて) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.410 Zeichen · 5 Bildschirme
私には子供が生れないと思っていたので、家族のつもりで犬を飼っていた。いろいろの犬を飼ったが、最後にはコリー種に落ちついて、いまも二匹いる。
だから綱男が生れたときも、まず何よりも犬と比較して考える。仔犬は買ってきた時から人にじゃれるし旺盛な食慾があって可愛いものだが、生れたての子供は目も見えないから、反応というものがない。自分のオナカから生んだ母親はその瞬間から子供が可愛いかも知れないが、男の私にはまるで縁もなく愛嬌もない生物が突然現れてわが子を称するようなもので、はじめの一ヵ月ぐらいはいかに扱うべきか窮したのである。
むろん名前をつけてやる気にもならなかったが、女房がサイソクしてゆずらないので二週間目に徹夜して考えてつけてやった。小説の作中人物とちがって平凡でないとこまる。私の本名が炳五といい、故郷の呼び方で一般にヘゴとよばれるのが非常にイヤだった。その記憶があるので、名前でイヤな思いをさせたくないと考えて苦労した。
女房がニンシンしたとき、私は女の子が生れて欲しいと考えた。男の子が生れて、それが私に似ていたりすると薄気味がわるいし、世間では私を半キチガイ扱いしているような次第で、その悪い方によけい似ていられてはオヤジも降参せざるを得ない。