Japanische Klassiker mit Furigana
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ひとをころすいぬ
人を殺す犬
小林 多喜二
Lesen Sie 人を殺す犬 (ひとをころすいぬ) von 小林 多喜二 (こばやしたきじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.386 Zeichen · 5 Bildschirme
一人が逃亡者のロープを解いてやった。すると棒頭がその大人の背ほどもある土佐犬を源吉の方へむけた。犬はグウグウと腹の方でうなっていたが、四肢が見ているうちに、力がこもってゆくのが分った。
「そらッ!」と言った。
棒頭が土佐犬を離した。
犬は歯をむきだして、前足をのばすと、尻の方を高くあげて……源吉は身体をふるわしていたが、ハッとして立ちすくんでしまった。瞬間シーンとなった。誰の息づかいも聞えない。
土佐犬はウオッと叫ぶと飛びあがった。源吉は何やら叫ぶと手を振った。盲目が前に手を出してまさぐるような恰好をした。犬は一と飛びに源吉に食いついた。源吉と犬はもつれあって、二、三回土の上をのたうった。犬が離れた。口のまわりに血がついていた。そして犬は親分のまわりを、身体をはねらしながら二、三回まわった。源吉は倒れたままちょっとの間ピクッピクッと動いていた。がフラフラと立ち上った。と土佐犬は吠えもせず飛びかかった。源吉はひとたまりもなくはね飛ばされて、空地を区切っている塀に投げつけられた。犬はまたせまった! 源吉は犬の方に向きなおった。そして塀に背をもたせ、背中でずって立ち上った。