Japanische Klassiker mit Furigana
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ひとをころすいぬ
人を殺す犬
小林 多喜二
Lesen Sie 人を殺す犬 (ひとをころすいぬ) von 小林 多喜二 (こばやしたきじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.386 Zeichen · 5 Bildschirme
皆んな思わずその方を見た。こっちに向けた顔はすっかり血だらけで分らなかった。その血が顎から咽喉を伝って、すっかりムキだしにされて、せわしくあえいでいる胸を流れるのが分かった。立ち上ると源吉は腕で顔をぬぐった、犬の方を見定めようとするようだった。犬は勝ち誇ったように一吠え吠えると、瞬間、源吉は分けの分らないことを口早に言ったか、と思うと、
「怖かない! オッ母ッ!」と叫んだ。
そしてグルッと身体を廻すと、猫がするように塀をもがいて上るような恰好をした。犬がその後から喰らいつた。
* *
その晩棒頭が一人つき添って土方二人が源吉の死骸をかついで山へ行った。穴をほってうずめた。月夜で十勝岳が昼よりもハッキリ見えた。穴の中にスコップで土をなげ入れると、下で箱にあたる音が不気味に聞えた。
帰りに一人が、ちょうど棒頭の小便をしていた時、仲間に「だが、俺ァなあキットいつかあの犬を殺してやるよ……」と言った。